敗血症とは

敗血症とは

年齢・性別を問わず、誰もが罹患しうる敗血症。
その原因や症状、危険性を正しく理解しましょう。

敗血症とは、生命を脅かす感染に対する生体反応です。
組織障害や臓器障害をきたすため、集中治療室(ICU)での全身管理および治療が必要になります。
ショックや著しい臓器障害をきたす場合は死に至る場合もあります。

敗血症とは

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敗血症とはどんな病気?

敗血症とはどんな病気? 敗血症とはどんな病気?

敗血症の原因

敗血症はいつ、誰にでも、どんな感染症からも発生し、体のいかなる部位にも影響をあたえることがあります。ちょっとした感染症の後で起こることさえあります。

感染が敗血症の原因です。感染は細菌(病原体)が繁殖したときにおこります。すなわち、体の中に細菌(病原体)は繁殖し、組織や臓器を障害し、敗血症を引き起こします。敗血症はたいてい、肺の感染症(肺炎)、尿路感染症(腎臓)、皮膚および腸管の感染と関係しています。ブドウ球菌や大腸菌、いくつかの連鎖球菌が敗血症を引き起こす主な細菌です。

感染症について詳しくはこちら

敗血症の症状

敗血症では何か一つの症状や兆候が出るというようなことはなく、発症とともに様々な症状が組み合わさって出現します。敗血症というのは感染症の結果として起こることなので、嘔吐下痢や咽頭痛などの普段よくみる感染症症状を伴うかもしれませんし、以下にあげるように様々な症状を呈します。

  • 悪寒とふるえ、発熱
  • 身体の疼痛や不快感
  • 冷たく湿潤した皮膚
  • 意識低下(混乱や見当識障害)
  • 息切れ、頻呼吸
  • 頻脈

改善しないまたは悪化するような感染に
かかったと思ったら

もし感染や敗血症の症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。
敗血症は救急疾患です。
もし感染に対する症状の改善がなければ、速やかに敗血症について医師にお尋ねください。

もしあなたや家族が、敗血症になるリスクが高い場合(65歳以上の高齢者、1歳未満の新生児・乳児、免疫機能が低下していたり、悪性腫瘍や糖尿病や自己免疫性疾患などの病気がある場合)は、感染の可能性が高いので、すぐに医療機関にご相談ください。

敗血症の診断と治療

お医者さんにかかると、発熱や低血圧、心拍数や呼吸数の上昇といった多くの身体所見を参考にして、敗血症と診断されます。感染症や臓器障害の徴候を調べる検査を実施することもあります。
発熱や呼吸困難などの敗血症の症状の多くは他の病気と同じであるため、敗血症を早期に診断することが難しくなります。

敗血症患者は病院で治療を受けます。
医師は
①感染症をコントロールし
②全身管理により血圧の低下とそれに伴う臓器障害を防ぎます。

医師は速やかに抗菌薬を投与します。また感染により障害された組織を外科的に切除することもあります。
また血圧と血液中の酸素濃度を維持するために、多くの患者は酸素投与と大量の輸液による初期治療を受けます。その他の治療法として、必要であれば人工呼吸器管理や人工透析などの全身管理も行うこともあります。

敗血症の予防

敗血症は感染症を契機に発症しますから、感染症の予防が敗血症の予防につながります。
Q&Aの「どうすれば、感染を予防できますか?」も参考にしてください。

主な敗血症の予防方法を3 つあげます。

①ワクチン接種
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、感染症予防のためのワクチン接種は敗血症予防につながります。ワクチンについては、みなさんのかかっている主治医、もしくは近くの医師に尋ねれば、詳細な情報や接種のタイミングなどを教えてくれるはずです。

②衛生を保つ
傷口をしっかり洗う、普段から手洗いやうがいをするなど、衛生手技をしっかり行うことで感染性微生物の増殖や体内への侵入を防ぐことができます。

③初期に対応する
時間とともに敗血症は進行します。早期に気づくことで、それ以上の悪化を防ぐきっかけとなります。もし重症感染症だと感じたなら、敗血症の症状(悪寒とふるえ、身体の疼痛や不快感、冷たく湿潤した皮膚、意識低下、息切れ、頻脈など)がないか気をつけてください。

敗血症にかかりやすい人

敗血症にかかりやすい人 敗血症にかかりやすい人

感染症から敗血症になる可能性が
高くなる条件

特に適切な治療を受けていない場合、誰もが感染症から敗血症になる可能性があります。
しかしながら、免疫力が低下していたり慢性的な病気(たとえば糖尿病など)を持っている65歳以上で敗血症は最も起こりやすいとされています。
また、免疫システムがまだ完成していない 1歳未満の乳幼児も敗血症のリスクが高いと言われています。

米国疾病予防管理センター(CDC)の評価では、敗血症を発症した成人の90% 以上、子供の70% 以上が、敗血症の危険にさらされている可能性のある健康状態だったと報告されています。あなたがもし慢性的な病気を持っているのであれば、糖尿病における血糖値管理といった、感染のリスクを減らすための方法についてあなたのかかりつけの医師に相談してみてください。

ガンや、それに伴う化学療法も
敗血症リスクを高めます

ガン患者の多くは免疫機能が低下していることが多く、また化学療法などはさらに免疫機能を弱めます。化学療法は、良くも悪くも体の中で最も早く増殖する細胞を殺します。すなわち、抗がん剤はがん細胞を殺すだけでなく、あなたの体の中の病原体と戦う白血球も殺します。このためがん患者は、正常の人なら防御できる病原体に感染し、敗血症に陥りやすくなります。

特に感染症にかかりやすい
タイミングはあるのでしょうか?

感染症や敗血症はいつでも起こる可能性があります。しかし、あなたの体が特定のタイプの白血球(好中球)の数が非常に低い状態の場合、敗血症に至る可能性のある感染症のリスクが増加します。このような状態は、好中球減少症と呼ばれる、抗がん剤治療の副作用でみられます。このような可能性のある方は定期的な血液検査で白血球数を測定し、好中球が減少していないかチェックしてもらいましょう。

時間とともに敗血症は進行します。早期に気づくことで、それ以上の悪化を防ぐきっかけとなります。もし重症感染症だと感じたなら、敗血症の症状(悪寒とふるえ、身体の疼痛や不快感、冷たく湿潤した皮膚、意識低下、息切れ、頻脈など)がないか気をつけてください。

敗血症の予後と後遺症

敗血症の予後と後遺症 敗血症の予後と後遺症

敗血症の長期的な影響(後遺症)

敗血症で救命された人のうち多くは完全に治癒し、元通りの生活に戻ることができます。しかし、集中治療を必要とする他の病気と同じように、一部の人は長期的な影響(後遺症)が残ります。この影響は、敗血症を治療した後も数週間は分からないことがありますが、以下のようなものがあります。

  • 不眠、寝つきにくい、睡眠不順
  • 悪夢、鮮明な幻覚、パニック発作
  • 筋肉の動きが悪い、関節痛
  • 精神(認知)機能の低下
  • 自尊心と自己信念の喪失
  • 臓器機能の障害(腎不全、呼吸機能の問題など)
  • 四肢を失う(治療により手や足を切断するなど)

敗血症から回復する最初のステップ

敗血症にかかった後、通常は入院中にリハビリが開始されます。初めは手伝ってもらいながらゆっくりと動き回わったり、身の回りのことを行ったりすることから始めます。具体的には、入浴したり、座ったり、立ったり、歩いたり、トイレまで自力で移動したりします。以前の健康状態と同じ、あるいは可能な限りそれに近い状態にまで戻ることが、リハビリの目的です。リハビリの初めのうちは焦らず着実に活動を高めてゆき、疲れたときには休憩しましょう。

退院したらどのように過ごすべきか

あなたが重症な敗血症に感染したら、体調と精神状態が元通りになるまで時間がかかります。あなたは以下のような症状を感じるかもしれません。

  • 全身の筋力低下や倦怠感
  • 息切れ
  • 全身の痛み
  • 運動制限
  • 睡眠障害
  • 体重減少、食欲不振、味覚障害
  • 皮膚の乾燥、かさつき
  • 脱毛、爪のもろさ

退院した際に、以下のような気持ちの変化があっても異常ではありません。

  • 自分自身がよくわからない
  • 表情に自信がない
  • 友達や家族を避け、一人で過ごす方がいい
  • 悪い思い出がフラッシュバックする
  • せん妄(何が現実で、何が現実でないか分からない)
  • 不安、うつ
  • 集中力の低下
  • 日常の作業をすることにフラストレーションを感じる

自宅で自分自身の回復のために
自分で何かできることはありますか?

敗血症の後遺症に対して自分自身でできることとして以下のようなことがあります。

  • 自分で週ごとに、たとえば入浴する、服を着る、階段を上がるといったような、小さな達成できる目標をたてる
  • 筋力を回復させる
  • 何を感じているかについて家族や友達と話す
  • あなたの考え、苦悩、節目を日記などに書く
  • 何が起こったのかを理解するために敗血症について学ぶ
  • あなたに何が起こったのかを、あなたの記憶のない部分を埋められるように家族に聞く
  • バランスのとれた食事をとる
  • 気がついたときに運動する
  • 診察を受ける際に医師に相談する質問リストを作っておく

敗血症の長期予後

敗血症状態から完全に回復した人の多くが、元どおりの生活に戻っています。しかし、恒久的な臓器障害を残す場合も少なからずあります。例えば、もともと腎臓の機能が低下しているような人は、敗血症の経過でさらに腎機能が悪化し、生涯透析を余儀なくされることもあります。

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